温暖化と自然災害(水害)について

近年1時間に50ミリを超え一日では200ミリを超えるような降雨量が多くなってるいるように思えますが、これも地球温暖化の影響なのでしょうか?

国土交通省『地球温暖化に伴う気候変化が水災害に及ぼす影響について』(※2) … 気候変動への適応策を考えるに当たっては、流域全体で予想される新たな事態について、国民や関係機関等に周知するとともに、流域においてどのように対応していく かを考えなければならない。

地球温暖化の現状

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は2007年に取りまとめた第4次評価報告書において、「世界全体の平均気温が1906年から2005年までの100年間で0.74度上昇しており、特に20世紀後半の北半球の平均気温は、少なくとも過去1300年間で最も高温であった可能性が高い」としています。日本においても気温が上昇しており、新潟も例外ではありません。(※3)
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出典:日本の年平均気温平年差は『国土交通白書2008』(※3)、新潟の年平均気温平年差は「気象庁HP」データより新潟市の1898~2006年までの平均気温を平均値として算出

地球温暖化と水関連災害

気温上昇によって、食料や生態系への影響が予測されるほか、水や沿岸域の分野では、海面水位の上昇、大雨の頻度の増加、熱帯低気圧の強度の増加、水利用可能性の変化が予測されています。(※1)

地球温暖化が水分野にもたらす脅威
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出典:国土交通省『地球温暖化に伴う気候変化が水災害に及ぼす影響について』(※2)

水関連災害の将来予測

水関連災害の中で信濃川流域との関連性が深いものとして、洪水の増大、土砂災害の激化、渇水危険性の増大が挙げられます。このような水関連災害は今後どのように変化していくのでしょうか。
【集中豪雨の増加】 
 洪水・土砂災害は集中豪雨等の大雨によって引き起こされますが、過去30年間の降雨状況を見ると、1時間に50mmを超えるような雨や、1日に200mmを超えるような雨の回数が増加しています。(※3)

アメダスでみた大雨発生回数の長期変化
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出典:『国土交通白書2008』(※3)

降水量の変化の予測(2081~2100年の平均値と1981~2000年の平均値の比較)
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出典:『国土交通白書2008』(※3)

【将来的な治水安全性の低下】
 降水量の変化は河川の治水安全度に影響を及ぼします。例えば、信濃川では、150年に一度発生する規模の降雨に対応できる治水安全度(1/150)(注1)を目標として整備が行われており、現在の整備状況では約1/30の治水安全度となっています(注2)。しかし、北陸地域では100年後に最大日降雨量が約1.14倍になると予測されています。このような降雨量の増加を元に100年後の治水安全度を試算すると、現在の目標としている治水安全度(1/150)は1/50~1/90に低下することとなり、氾濫や浸水の頻度が増加する可能性があります。万が一、信濃川の堤防が決壊した場合の浸水域については、洪水氾濫シミュレーション(下図)をご覧下さい。(※3)
(注1) ○年に一度発生する規模の降雨に対応できる治水安全度は「1/○」と表されます。例えば、治水安全度1/150は150年に一度発生する規模の降雨に対応できる整備水準です。
(注2) 現在の整備状況は、信濃川の基準地点(小千谷)において評価したものです。(※4)

信濃川堤防(洗堰上流右岸)が切れた場合の洪水氾濫シミュレーション

特に大きな被害発生が予想される洗堰上流右岸破堤を想定したシミュレーションです。
 洗堰上流右岸で破堤して流れ出た大量の氾濫水は、信濃川下流部まで影響を及ぼします。このような場合、氾濫水は新潟市まで達するものと想定され、多くの被害が予想されます。
 氾濫水は長時間かかり、下流に向って広範囲に拡散します。まず、洗堰上流で破堤し、流れ出た氾濫水は信濃川に戻り、刈谷田川、五十嵐川などを合流しながら、次々と破堤していきます。その際、いたる所から氾濫し、最終的に地盤の低い地域に滞留します。滞留した氾濫水はポンプにより強制的に排水するしかなく浸水は長期化します。
 浸水面積は274km2と広大な区域が浸水します。さらに、浸水も長期に及ぶため主要作物である稲作に大打撃を与えます。浸水した市町村では平年収量の4割程度の収穫量となることが予想されます。
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出典『信濃川河川事務所HP』(※5)

水関連災害を防ぐために

地球温暖化に伴う気候変化により水関連災害は年々深刻さをましています。このような状況の中、社会資本整備審議会河川分科会の気候変動に適応した治水対策検討小委員会が取りまとめた『水災害分野における地球温暖化に伴う気候変化への適応策のあり方について』には、次のような記述がなされています。
-抜粋-
 気候変動への適応策を考えるに当たっては、流域全体で予想される新たな事態について、国民や関係機関等に周知するとともに、流域においてどのように対応していくのか、関係機関、団体等との役割分担を含め、国が中心となって地域とともに広く検討することが必要である。 また、流域における適応策の策定は、川と地域の関係の再構築とも考えられ、気候変動による影響のみならず、流域における社会や自然と安全の関係について、情報を国民や関係機関等に的確に提供し、共有化する中で合意形成を図る必要がある。 その際、まずは増大する外力に対し、基本的に施設でどこまで対応するのかを明確にしなければならない。その上で、施設能力を超える超過洪水等の外力(以下「超過外力」という。)の規模に応じて守るレベルを決めることが重要であり、その考え方に基づき被害の最小化を図るための適応策を策定する必要がある。例えば、洪水であれば氾濫形態に応じた適応策のシナリオを策定することとなり、具体的には、土地利用の規制・見直しなど地域づくりからの適応策、危機管理対応を中心とした適応策などが考えられる。
-抜粋ここまで-

私たち一人一人が防災を含めた地域のことを考えていく必要があるようです。

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